《ハーフコラム》大坂なおみ選手とハーフと日本語の話。

 

大坂なおみ選手がまたまた快挙を達成しましたね。

全豪オープン優勝!

そして

世界ランク1位!

日本どころか、アジア初の快挙だそうです。

おめでとうございます。

 

さて、前回、全米オープンで優勝したときにも「ハーフコラム」のブログを書きました。
多くの日本人が大坂なおみ選手の活躍をとても喜んで見ていたと思うのですが、一方で、日本とハイチ系アメリカ人の「ハーフ」である彼女のルーツと国籍をめぐっていろいろなところで騒がれもしました。

(↓こちらが全米オープン優勝時に書いた記事)

さて、今回の全豪オープン優勝の後には、彼女の日本語を巡る議論が目立ったような気がしました。

特にツイッターでは、日本の記者が彼女に「日本語でお願いします」と、
何かと彼女に日本語を話すことを求めていたことを話題にしたツイートがたくさんシェアされていて、私の目にも止まりました。

このツイートに関連していろいろ読んでいくなかで、まだまだ「ハーフ」と言葉のことについて、勘違い(要は偏見)している人が多かったり、イメージだけであまりよく知られていない話題なのかなと思ったので、今回は、「ハーフと言葉」をテーマに書きたいと思います。

 

 

日本人性の確認なのか、カワイイからなのか

 

YouTubeに、全豪オープン翌日の日本のメディア向けの記者会見の全容がアップされていたので、見てみました。

すると各社とも「日本語でお願いします」と日本語での回答を期待する質問を必ずのようにしていました。全部の質問がという訳ではなく、何個か質問する中で必ず1つは日本語の回答を要求しているようでした。

みなさんはナゼ記者の人たちがこのように「日本語でお願いします」と彼女の日本語を引き出そうとするようなことをしているのだと思いますか?
このような質問を不思議に感じた方はいるでしょうか?

 

私には、「ハーフ」であって、
いわゆる多くの人がイメージする「日本人像」からかけ離れた見た目で、
さらにアメリカ国籍ももつ彼女に
日本語を話させることで、

「それでも日本人なんですよ〜」

とメディアの人が率先してアピールしているように感じました。
これを見ている視聴者に安心感を与えようとしているような。

両親ともに日本人で、見た目もいわゆる人々の「日本人像」に当てはまり、国籍も日本だけというような人を相手にしても同じように日本語をしつこく要求されるのだろうか?と気になりました。

そしてもう一つ感じたのが、彼女の日本語を面白おかしく扱っているのかな、ということ。
ハーフの芸能人が変な日本語を話してテレビでもてはやされているそれと同じように、
大坂なおみ選手の日本語も、「面白い」だとか「カワイイ」だとかそういう目で見られているのかなということを。

だとしたならば、なんだかとっても失礼だな〜と思うのです。
人の話し方を小バカにしているようで。

芸能人はそれを「芸」、キャラとして演じているし売りにしている部分もあると思うのだけど、
大坂選手の場合はそうではありません。

それどころか、今や世界ランキング1位となったテニスプレーヤーですよ!?

もっとちゃんとリスペクトした扱いをするべきではないでしょうか。

それに、みなさんも自分の得意でない言語(多くの日本人にとっては英語だと思うのですが)を小バカにされたらすごく嫌な気分になりませんか?

 

日本語のできない日本人

 

ツイッターをみている中で、

「日本人なんだから日本語ぐらい話せるべき」

というような意見も目にしました。

さて、日本人であったなら日本語を話せて当然で、日本語を話せるべきなのでしょうか?

もちろん、そうではないですよね。
日本語を話せるようになるために必要なのは、日本の国籍ではなくて、日本語の環境です。

日本国籍を持っているからといって、自然と日本語が話せるようになるわけではありません。
それに、日本語が話せることは、日本人の義務でもありません。憲法に書かれている国民の義務は、納税、教育、勤労です。日本語なんてことは書かれていません。

大坂選手は片親が日本人の「ハーフ」なわけだけど、アメリカで育ち、アメリカで(=英語)で教育を受けたため日本語をあまり話せません。

両親ともに日本人だったとしても、同じように海外で育ち、現地の学校に通うなどをした場合、その人が日本語が不得意になることは自然と考えられることで、大坂選手に限ったことではありません。

日本人=日本語が話せる

という方程式は安易な思い込みで、世界にはいろんな日本人が存在しているのです。

そして、同じように、日本で、日本の学校で育てば、日本国籍のない外国人だって日本語を話せるようになるわけで、国籍と言語というのは相関関係がないのです。

 

「ハーフ=バイリンガル」という間違え

 

上で書いたように、「日本人=日本語」ができると同じように思い込まれているのが、

「ハーフ=バイリンガル」ということ。

これも同じように全くの思い込みで、ハーフだからといってバイリンガルになるというわけではありません。
統計などがあるわけではないですが、、、おそらくみなさんが思うようなバイリンガルのハーフなんてごくごく一部なのではないでしょうか。

バイリンガルになるのにも色々な環境が揃って初めてみなさんの思っているような両言語をスラスラと不自由なく使えるようなバイリンガルになれるのです。

両親が別々の言語を話せるというだけで、バイリンガルには育ちません。

例えば私の場合、、、

母親は英語話者で、父親は日本語話者ですが、

家の中の言語は、日本語。ごくたま〜に英語。
学校は日本語。
日本育ちなので、家から一歩でた外の世界も日本語。

というような環境で育ったので、少し英語は得意だけど、ほぼ日本語だけの1言語話者に育ちました。
おそらく、大坂選手の英語力と日本語力を逆にした感じです。

ちなみに、私が今のように英語が随分使えるようになったのは、大学生以降、大人になってからのです。
このように、両親が別の言語のネイティブスピーカーだったとしても、家庭の教育方針や、通う学校、社会の言語などの様々な要因が揃わないとバイリンガルになる環境は整いません。

そして、バイリンガル(日本育ちの場合特に英語ができる)という一人歩きしたハーフのイメージが、実際は大多数いるバイリンガルでない「ハーフ」の人たちを苦しめるのです。

 

「大坂なおみ選手は日本語ができない」の嘘

 

さて、話は大坂選手の日本語に戻りましょう。

「大坂選手は日本語ができない。」

とか、

「大坂選手はハーフなのに、お母さんが日本人なのに、日本語ができないなんて残念。」

とか、こんな風に思っている人も多いのではないでしょうか?
メディアの扱い方をみているとそう思っている人が多くいてもおかしくないだろうな〜という印象を受けます。

でも、でも、でも、

私は声を大にして言いたいんです。

大坂選手の日本語力はすごい!

と。

大坂選手のお母さんがちゃんと日本語を子供に教えなかったなんて、うそ、うそ、うそ。
あの日本語力はお母様の努力の賜物だと私は思います。

というのも、彼女、記者会見を見ていると、日本の記者からの質問はほとんど日本語で聞き取って回答しているんです。通訳を介して質問を確認することもあるけれど、多くの場合日本語で聞き取って回答しています。

確かに、回答はほとんど英語でされているし、たまに喋る日本語もたどたどしいものだったりするけれども、彼女が喋る日本語をはるかに超える、長い難しい文章を彼女は普通に聞き取っています。

これだけの日本語力を身につけるには、
おそらくお母さんは日本語でなおみ選手を育てたのではないかな〜?と想像します。

<お母さん→なおみ選手>は日本語
で、
<なおみ選手→お母さん>は英語
だったのだろうと想像できます。

日本語を話すという能動的な言語力、それに読み書きは、ただ日本語を聞く環境にいるからといって身につくものではありません。積極的に時間を割いて勉強をしないと身につかないのです。

なので、ご両親が家庭内で別々の言語で話しかけていただけでは身につきません。

若干21歳で世界一になるほどにテニスに力を入れてきた彼女ですから、幼い頃から多くの時間をテニスに割いてきたことでしょう。

それだけテニスに打ち込んでいたら、日本語を勉強する時間がなくて当然だと思うのです。
それでも、これだけの記者会見の日本語を聞き取る日本語力を身につけているのはすごいことだと思いませんか?

さて、これは大坂選手に限らず、バイリンガルの子育てをする上で大きなハードルとなる問題の一つでもあります。読み書きと、話す能力はとにかく、時間と努力が必要。でも子供はスポーツや習い事などなど興味もつものもいっぱい。打ち込むものがいっぱい。限られた時間の中で優先順位をつけいくとどうしても言語が下になりがち。

そんな中で親が唯一できることが、日本語で話続けることではないでしょうか。

そしてもう一つ、一言に「バイリンガル」と言っても、いろんなバイリンガルがいます。
一般的には「両言語がペラペラで〜」というようなのを想像するのかもしれませんが、大坂選手のような言語状況もれっきとしたバイリンガルなのです。そして、幼い頃から日本語を聞いてきた彼女にとって、日本語は「母語」でもあるのです。

 


 

以上。
大坂選手の日本語について、「ハーフと日本語」と言うテーマで書いてみました。
大坂選手の日本語に関する話題をみていると、

「日本人=日本語ができる」
「ハーフ=バイリンガル」
「バイリンガル=両言語ともペラペラ」

というような間違った思い込み(偏見)が散見されますね。

 

さて、「日本語でお願いします」と記者が言う件。
大坂選手は日本語で受け答えするのは嫌いではなさそうなんだけど、記者の人ももう少し彼女の日本語回答力を考慮して日本語で回答してもらう質問を考えればいいのにな〜なんて思います。

一言で答えられるような質問はいいとして、、、
相手選手のことや、一言で答えられないような対戦時のことを聞かれたって、そりゃ、「英語で答えます」って言われてしまいますよね(笑)

なんだか彼女の方が大人に感じますね。