《海外在住者の選挙の疑問に答えます》在外選挙登録・投票方法
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7月10日に参議院選挙がありましたね。
私は今アメリカ在住ですが、しっかりと私の一票を投票してきました。
海外に移住しても日本の選挙に投票できるの?
どうやって投票するの?
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
今回はそんなん疑問にお答えしてみたいと思います。
これから海外に引っ越しをする予定の方、海外在住だけど選挙で投票できることを知らなかった方も必見です!
海外在住でも日本の選挙に投票できる?
海外在住でも日本人(日本国籍を持っている)であれば
日本の選挙に投票することができます。
(もちろん18歳以上の有権者のみ)
投票のできる選挙は、国政選挙のみです。
つまり、国会議員を決める衆議院選挙と参議院選挙の時のみです。
(都道府県、市町村など自治体の選挙に投票できるのはそこの居住者のみなので、
居住地が海外の人はもちろん投票することはできません。)
ただ、海外へ引っ越した後、何もせずにすぐに投票ができるようになるわけではなく、
在外選挙人名簿に登録(在外選挙登録)するという手続きをして、在外選挙人証を受けとる必要があります。
また、海外に住んでいてもこの在外選挙登録の手続きができない人もいるので要注意です。
在外選挙登録について詳しくは次で説明します。
在外選挙登録って何?
海外に引っ越しても、在外選挙登録を完了して、在外選挙人証を受け取らないと日本で国政選挙があっても投票することができません。
では、在外選挙登録はどうしたらできるのでしょうか?
在外選挙登録をするための条件
在外選挙人名簿に登録するには、⑴日本の住民票を外している必要があります。
そして、⑵海外の住所に3か月以上継続して居住している必要があります。
住民票を外す必要があるので、滞在期間が短期の予定で住民票を外さずに海外に住まわれている方や、日本の国民保険や年金の継続のために住民票を残したまま海外生活をしている方は海外で選挙の投票を行うことができないことになります。
住民票を外すのは海外に引っ越す前に居住している市区町村の役所で「転出届」を提出することでできます。(詳しくはお住まいの役所でご確認ください)
3か月の居住条件ですが、同一の住所に3か月継続して居住していなくてもいいのですが、1つの在外公館(大使館や領事館)の管轄内に3か月継続して居住している必要があります。
例えば、ワシントンDCにある日本大使館の場合、ワシントンDC、メリーランド州、ヴァージニア州が管轄なので、この地域内に3か月以上住んでいる必要があります。
在外選挙登録の申請の手続き自体は、海外引っ越し後3か月未満でも開始することができます。
在外選挙登録の方法
必要書類を持って管轄の在外公館(日本大使館、領事館)で申請をしましょう。
申請は、本人または同居の家族が行うことができます。
管轄の在外公館は外務省のコチラのページで調べることができます。
申請をすると、居住期間が3か月以上であることが確認された時点で、
在外公館から日本の登録予定の日本国内の選挙管理委員会へ申請書類が送られ、確認・審査を経て在外選挙認証が申請した公館を経由して送られてきます。
在外選挙認証が手元に届けば、これで無事に選挙で投票できるようになります!
必要書類
- 在外選挙人名簿登録申請書
- 期限の切れていないパスポート(もしビザの申請中などで手元にパスポートがない場合は、他の写真付きの公的な身分証明証などで代替できます)
- 現在の住所を確認できる書類(アパートの契約書など)
- 既に3か月以上居住していて、在留届を3か月以上前に出している人はそれで確認ができるので書類は不要です。(在留届についての詳細はコチラ)
- 居住期間が3か月未満の場合、住所を確認できる書類を提出すると、引っ越してきた日から3か月経った時点で、申請した在外公館から電話または郵便で引き続き居住していることの確認の連絡がきます。
海外に引っ越したらすぐに選挙で投票できる?
在外選挙登録の手続きからわかるように、海外に引っ越しをした後はしばらく日本の選挙で投票することはできません。
選挙で投票できるようになるまでの期間はおおよそ5か月ほど。
まず、3か月以上居住していることという条件が在外選挙登録の申請にあるため、申請までに3か月。そこから日本の登録予定の選挙管理委員会への書類の送付、審査手続きを経て在外選挙人証が送付されてくるのに2か月ほど。
というわけで、合計5か月ほどかかります。(お住まいの地域の郵便等の状況によってはもう少し時間がかかることも)
私も11月にアメリカに引っ越してきてから割とすぐに手続きをしたのですが、在外選挙人証が届いたのは翌年5月でした。だいたい6か月弱かかりました。
海外在住者が投票する選挙区は?
最近、海外に引っ越した人は、日本での最終住所地の選挙管理委員会に登録されるので、引っ越してくる前の日本の選挙区と同じ選挙区に投票することになります。
海外生まれで日本に一度も居住したことのない(住民票を登録したことがない)日本人と、
1994年4月30日以前に海外に引っ越しをした人は、本籍地の選挙管理委員会が登録先となります。
海外在住者はどうやって投票するの?
さて、在外選挙登録が済み、在外選挙人証が届くといよいよ日本の選挙に国外から投票できるようになります。
では、国外での投票はどのようにおこなわれるのでしょうか。
方法は、郵便による投票と在外公館は出向いて投票の2つがあります。
そして、もし選挙の時に日本へ一時帰国していた場合は、在外選挙人証を持っていけば日本の登録先の選挙管理委員会の投票先で投票することも可能です。
郵便による投票
これは、郵便の日数などを考慮しないといけなかったりと手間なのであまりおすすめではないですが、管轄の在外公館が遠い場合などは便利な手段かと思います。
投票の流れ
まず、「投票用紙等請求書」という書類に必要事項を記載して、在外選挙人証とともに日本の登録先の選挙管理委員会へ送付し、投票用紙を請求します。
(投票用紙の交付は任期満了の60日前、または衆議院の解散日。請求書は事前に送付可)
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選挙管理委員会から日本で使われるのと同じ投票用紙と投票用封筒が送付されてきます。
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選挙期日が公示・告示されたら、その翌日以降に投票用紙に記入します。
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記入済みの投票用紙を投票用封筒に入れて封をし、投票用封筒の必要事項を記入した上で、送付用封筒に入れ、在外選挙人証の書かれた登録先の選挙管理委員会あてに郵送します。(2重に封筒に入れることになります)
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選挙管理委員会に届いた投票用紙が投票所に届けられます。
(選挙期日の日本時間午後8時までに投票所へ必着)
全部で3回も国際郵便を使うことになるので、
郵便による投票を選ぶ方はくれぐれも前もって計画的に。
在外公館での投票
こちらは、管轄の在外公館がアクセスしやすい場所にあれば、日本と同じように投票所である在外公館に行って投票をするだけなので、おすすめです。
投票の流れ
投票期間中に在外選挙認証とパスポートをもって管轄の在外公館に行きます。
(この先は在外公館の指示通りに手続き)
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投票場所に着くと、まず投票用紙を請求する用紙が渡されるのでそれに必要事項を記載
します。
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投票用紙を請求する用紙を持って、受付に行くと比例、選挙区用それぞれの投票用紙の入った封筒と送付用の封筒(茶封筒)を渡されます。
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日本の投票所と同じようなブースで投票用紙に記入をし、比例、選挙区それぞれの投票用紙を元の封筒に入れ封をします。
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封をした投票用紙を持って受付に戻り、選挙立会人の署名をもらい、送付用の封筒に入れたら投票完了です。(送付用の封筒には各自の選挙管理委員会の宛名を記載します。
とういわけで、在外公館の投票所には投票箱はなく、二重の封筒で投票することになります。封筒はまとめてまず日本(外務省)に送られ、そこから国内郵便で日本各地の選挙管理委員会に送付されます。
選挙期間
在外公館での投票日は、選挙が公示された翌日〜日本の投票日の6日前までとなっています。
日本の各選挙管理委員会まで到達するまでに日数がかかるため、投票締め切りが早いんですね。
また地域によって、郵送に時間のかかる在外公館では投票締め切りが6日前よりも早いこともあるようなのでご注意ください。
在外選挙登録、日本への帰国後はどうなる?
日本帰国する場合は特に手続きの必要はありません。
日本に帰国して、居住する自治体で住民票を作成すると、3ヶ月後に自動的に国内の選挙名簿に登録され、在外選挙人証は無効になります。
もしこの3か月の間に選挙があった場合は、在外選挙人証がまだ有効なので、在外選挙人証を持って登録先の選挙管理委員会指定の投票所で投票することになります。(期日前投票、不在者投票も可)
まとめ
というわけで、海外に住んでいてもちゃんと手続きをしておけば、日本の国政選挙で投票することはできます。
在外選挙登録には最短で約5か月ほどかかるので、手続きはお早めに。
遅くなってしまうとさらに選挙権の無い期間が増えてしまいますからね。。。
在外選挙人証さえ手に入れば、あとは在外公館に行って投票するのみ。楽ちんです。
(在外公館が遠い場合はそうでも無いけど。。。)
ただ、投票の締め切り日が日本の投票日より早いので、
日本のニュースを追っているとついつい投票日まで時間に余裕があると思ってしまうこともあるので、お気をつけください。
今回の参議院選挙で、日本のみんなより一足早く投票を終えなくてはいけないのは、なんだか不思議な感じがしました。
投票期間は管轄の大使館、公館からメールで連絡が来るので、そちらをしっかり確認してください。
日本に住んでいないとはいえ、日本人である限り日本の政治は自分に影響があるし、
貴重な1票なので、皆さん在外選挙登録と在外投票はお忘れなく。
在外選挙関連のリンク
外務省「在外選挙人名簿登録申請の流れ」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/senkyo/flow.html#shinseiflow
総務省「なるほど!選挙ー投票制度」
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo05.html#chapter3
在米日本大使館「在外選挙人登録申請手続き」
http://www.us.emb-japan.go.jp/j/zaigai_senkyo/senkyo_new.html
以上、海外生活者のための日本の選挙への投票方法のまとめでした。
ちなみに、たまに聞かれるのですが、、、
アメリカの永住権(グリーンカード)を持っていても、アメリカでの参政権はありません。
なので当然、11月に行われる大統領選挙も投票できません。
アメリカは「市民権」という言葉を使うので勘違いされやすいのですが、永住者には「市民権」はありません。「市民権」とはアメリカ国籍を持っている人の権利のことで、「市民権を取得する」=「アメリカ国籍を取得する」ということになります。
なので永住者はあくまでも外国人で、市民権はなく、選挙にも参加できません。
ただし、永住者は他の外国人とは異なり、大統領選挙等で候補者に寄付をすることが可能です。
寄付という形を通してのみアメリカの政治に参加できるようです。
えりざ