ボリウッドだけじゃない!インド系アメリカ人がつくるアメリカ展 ③

それでは、Beyond Bollywood展の連載第3弾、最後の展示紹介をしたいと思います。

 

インディアン・アメリカン? アメリカン・インディアン?


IndianAmericanIndian

アメリカでインド人であることは、ちょっとややこしい。
なぜなら、アメリカでインディアンと言ったら先住民族のインディアンを先に思い浮かべる人が大多数だから。


コロンブスがインドを目指して出発して、辿り着いた先はインドではなくアメリカ大陸。そんなことはつゆ知らず、そこに住んでいた人たちをインディアン(インド人)と呼び始めてしまったが最後、今でもアメリカ先住民はインディアンと呼ばれているのです。他にもネイティブ・アメリカンなど違う呼び方もあるのですが、インディアンもまだまだ主流ですね。国立博物館だって「国立アメリカ・インディアン博物館」というぐらいですからね。

インド系アメリカ人とアメリカ先住民をそれぞれ区別して言ってみると、
インディアン・アメリカンアメリカン・インディアン


インディアン・アメリカン がインド系アメリカ人で、アメリカン・インディアンがアメリカ先住民。単語がひっくり返っただけなので区別してみても、やっぱりややこしい。


そんなインド系アメリカ人の困惑を作品にしたのがこちらの展示です。

作品は、アメリカ先住民の「インディアン」のポートレイトと、それに似せて撮影したインド系アメリカ人のポートレイトを並べてフレームに入れたもの。


フレームの上にはこんな言葉が書いてあります。


移民であると、”実際のところナニ人なの?” という質問をよく受ける。
私はインディアン(インド人)ですと答えるとき、大抵の場合 ”インド出身のインディアン(インド人)です” と説明を加えないとならないことになる。なので、この作品集ではもう一つのインディアンに目を向けてみることにした。


この感覚、私もアメリカに来て以来よく感じていたので、
この言葉をみたときには「自分と同じことを感じている人がいる!」と思いなんとも嬉しくなりました。


私の場合、多様性の国アメリカだろうと、この見た目で「日本人」と言っても納得されないので(笑)、大抵 「インディアン(インド人)と日本人のハーフ」や「お母さんがインディアン(インド人)なんだ」と説明するのですが、毎回「インディアン」っていう度に無駄にドキドキしてしまうのです。「アメリカ先住民」のインディアンと勘違いされていないかな。。。?と心配で。
日本とインドが混ざっている分、見た目のインド人色が薄いので、どちらかというとインド人よりもインディアンの方を先に想起しやすいのではないかな〜と勝手に思っています。

この感覚、アメリカに住むまで感じたことがなかったのでちょっと新鮮です。

 

スペリング大会優勝の常連さん

SpellingBee

アメリカにはSpelling Beeという、英単語のスペリング当てトーナメントの全国大会があります。
その大会の優勝者の常連がインド系アメリカ人です。1999年から2013年にかけては、11年連続でインド系アメリカ人が優勝しているそうです。

一見、「インド人=スペリングが得意」なんてステレオタイプを抱いてしまいそうな展示ですが、そういうわけではありません。1985年に初めてインド系アメリカ人が優勝したことに、同じルーツを持つ子供たちが感化され、この大会を目指す子供たちが増えたようです。そして、今ではコミュニティーをあげて全国大会を目指す子供たちをサポートする取り組みを行っているそうです。

インド人だからスペリングができるというわけではなく、コミュニティーの努力の賜物なのです。

また、移民の子供たちにとっては、自分が、または自分と同じルーツの子供たちが、全国規模で活躍する経験というのは意味の大きいものなのかもしれません。

 

ミシェル・オバマのドレスを作るデザイナー


MichelleObaaDress

こちらのドレスはミシェル・オバマが実際に着たもの。
Naeem Khanというインド系アメリカ人のデザイナーによって作られたドレスです。オバマ夫人はこの展示されていたドレスに限らず、このデザイナーのドレスを数々の場で着用しています。

Naeem Khanはインドのムンバイ出身で、今はニューヨークを拠点に活躍しています。
彼の作品はシンプルでモダンでありながら、何世代もインドに伝わる刺繍の技巧を取り入れるなど深くインドの影響の残るデザイとなっています。

う〜ん、いつかはこんなゴージャスなドレスを着てみたい!


 

というわけで、私チョイスの展示紹介でした。
実際にはもっともっとインド系アメリカ人の歴史や生活が盛りだくさんな展示になっています。
また、ワシントンDCでの展示期間は終了していまいましたが、2019年まで各地を巡回する予定だそうなので、地域によってはまだ見るチャンスもありそうです。

詳しい巡回のスケジュールはこちらから
http://www.sites.si.edu/exhibitions/exhibits/beyondbollywood/