ぜんじろうのスタンドアップコメディin ムンバイ②ー日本の芸人の海外ライブってどうなの?

 

さて、前回に引き続きぜんじろうのスタンドアップコメディを見にいったお話です。

前回はインドのスタンドアップコメディの雰囲気をお伝えしたのですが、
今回はインドで見るぜんじろうのライブについてです。

日本の芸人がやる英語のお笑いも気になるし、日本語のスタンドアップコメディってどんなの?っていうのも気になるし、、、じゃあ両方みちゃえ!と英語版と日本語版と両方みてきました。

これね、両方見るために二日連続でみに行ったんですよ。まるで追っかけファン。

もちろん懇親会まで行ってお話もさせていただきました。やっぱり追っかけファン(笑)

 

ぜんじろうライブ

 

さてさて、私が気になっていたぜんじろうのお笑いライブ。
実際に見てみてどうだったでしょ〜か。

まず、ぜんじろうのライブはもはや「日本のお笑い」ではなく「スタンドアップコメディ」です。
英語のはもちろん、日本語のライブもスタンドアップコメディ仕様でした。

彼は今、日本にもスタンドアップコメディを普及させるべく頑張っているそうです。
というだけあって、スタンドアップコメディについてよく熟知されているようでした。

それもそのはず、かれこれ20年以上もアメリカをはじめ海外で活動されているほどなのです

 

日本人による英語スタンドアップコメディ

 

初日に見たのが、英語によるスタンドアップコメディ。
まずはそちらの様子をご報告します。

 

日本人による英語スタンドアップの内容は?

ネタで多かったのが、ザ・日本あるある。

海外の人が好きそうな、というか、海外の人がよく驚く日本のあるあるネタが多かったです。
一見、そんなのよく言われているし、今さら全然目新しくもないよね。と思うんだけど、それなのに、大爆笑でした。

例えば日本の英語の教科書をネタにしたものとか。
本音と建前の話とか。
日本人のリアクションというか表情の薄さとかとか。。。

英語の教科書が「This is a pen」で始まることだって、
本音と建前の話だって、もう聞き飽きた日本人あるあるだけれど、
さすがは芸人さん、そのネタの作り方というか、見せ方というか、で面白くなるんですね。

そういえば日本って面白い国だったわ〜と、どっぷり日本カルチャーの中にいると気づかないことを気づかされました。

それから、日本のお笑いと違っているなと思ったのはエロス。
ぜんじろうさん、いきつけのインドの笑いの神様に今年はエロスでいけ!と言われたらしです。

大人ネタはアメリカのスタンドアップには割とよくあります。
でも日本の下ネタとは違う気がするんですよね。そもそも日本のテレビや劇場のお笑いでは下ネタ少ないんじゃないかな。一方、スタンドアップは夜にバーとかで開催されるので、そういうのが受け入れらる環境にあります。

そして、日本のお笑いの下ネタって女性が面白いと思えないような、男性中心的なネタという印象があるのですが、、、アメリカのは男女ともに笑える、下ネタというよりも、「大人ネタ」と表現したくなるようなものな気がします。(そうでないコメディアンもいるとは思いますが)なんなら女性が「女性だって性のことをオープンに語っていいんだ!」と言わんばかりに大人ネタを入れてきます。
(←私の一押しはネットフリックスで見れるAli Wong!)

一方、スタンドアップでよくあるもう一つの大人ネタ、政治の批判的な風刺ネタはありませんでした。まあ、インド人相手に日本の政治ネタをしても理解されない可能性の方が高いですよね。と思えば納得ですが。

全体としては、やっぱり日本あるある的な日本のカルチャーを風刺したようなネタが中心でした。

 

日本の芸人の英語は通用するのか!?

そして気になるのが日本人の英語で通用するのか??というところ。
ぜんじろうさんは、とっても日本語発音な英語でした。ちょっと聞き取りにくいなと感じたところもあるぐらい。

が、しかし、それをもネタにしていた感が。
というか、若干、誇張して日本人発音をしていた感じがします。

この人英語あんまりできなそうで大丈夫かな。。。?
本当に笑わせてくれるの??

と心配させといて、とっても流暢に英語でお下品な言葉を罵るんです。

そこだけとっても流暢に。

そして、流暢といえば、英語でのお客さんとの絡みがとってもうまかった!
お客さんの発言に対して返しがうまいし、面白くて、英語のコミュニケーション力はさることながら、やっぱりプロの芸人さんの話芸ってすごいな〜と感心してしまいました。

言語力はなかったとしても、芸人としての会場の空気の読み方とか、絡みかたとかは共通するものがあるんでしょうね。

 

もちろん笑ってもらうには自分の言っていることを理解してもらわないといけないので、発音や語彙やらある程度の英語力は大事なのでしょうが、それだけでは意味がなくて、芸人としてのコミュニケーション力を英語でも発揮できるのか!?
というのが大事なのだと思います。

 

日本語のスタンドアップコメディ

 

そして二日目のライブ。この日は日本語のライブを見ました。
こちらはムンバイの日本人コミュニティ向けの特別公演。

前日のは英語だったので、スタンドアップコメディとして違和感がなかったのですが、
この日は全部日本語!

日本語のスタンドアップコメディ初体験でした。

感想はというと。。。なんか不思議なところもあるけれど、日本語でスタンドアップコメディってすごく有りだと思いました。

不思議だと感じたのは、おそらく英語のスタンドアップに慣れているせいもあると思います。
オチの落とし方が、「英語のスタンドアップであるこの形式で落としたのか〜」とか余計なことを考えてしまっていたので。

そして一番楽しかったのが、自分の人生談を一人語りで面白おかしく話していくもの。面白おかしくて、なんども爆笑しているのに、なぜか最後には感動へといざなわれる不思議体験。お笑いでありながら、ある意味笑いあり涙ありの舞台を見ている感じ。これは20分ぐらいの長いネタなんだけど、前半にあった短いネタよりも圧倒的に印象に残っています。

前日の英語の舞台で入っていたエロスネタは、この日は会場に子どもも多かったため少なめでした(それでもあったのだけどw)。

一方で政治ネタは少し試験的に(?)挑戦されていました。
こちらは私はすごく面白かったです!

私的にアメリカのコメディアンの面白いところは笑いで政権を批判するところ。
アメリカのコメディアンってすごく知的な人が多いんです。

 
ところが日本の芸人は最近何かとニュース的な番組でコメンテーターとかしているけれど、、、知的とはかけ離れていて、「教養のない”普通”の感覚でコメントや質問する」ことが良しとされている印象。問題発言なんじゃないの!?というケースも。
確かに、一般に受け入れられやすいように話すことは大事かもしれないけれど、それは難しいこともわかりやすく面白く伝えることが腕の見せ所なんじゃないかな〜と思うわけです。

アメリカのコメディアンはそこがうまいな〜と思って感心します。政治や社会批判がちゃんと娯楽となっているんです。

ただ日本でスタンドアップなりなんなりで政治をネタにする時に、会場がリベラルなのか保守なのか定かじゃないから難しいというようなことをぜんじろうさんはおっしゃっていました。

確かに、アメリカのコメディアンはすでにリベラルのコメディアンにはリベラルの客層がつくと住み分けがされているのかもしれません。日本はそこがこれからなので、政治ネタがまだ難しいのかな。
これからに期待したいと思います。

 

お笑いと人種問題

さて、アメリカのスタンドアップコメディでも人種のネタがあるのですが、ぜんじろうさんの英語のライブでもやはり人種ネタはありました。

そもそも日本人をおもしろおかしく語るのも人種ネタですね。

ぜんじろうさんのライブでは、
日本人、中国人、韓国人の目の比較をしたものと、日本語、中国語、韓国語の音の違いをオナラの音の違い(下品w)で表現したものの2つがありました。

言語の方はまだ笑えたけれど(オナラに例えるってどうなの??と思いつつ)、
目の違いの方はちょっと笑えませんでした(涙)

目を横に引っ張って細くして、上に引っ張ったり、下に引っ張ったりして違いをつけるのだけど、、、
この目を横に引っ張るのって、欧米圏では東アジア人に対する典型的な差別表現として批判されています。

インド人がやるのも何度か見かけたことがあって、インドにはまだそれが差別として認識されていない節があるし、人種差別に対して理解の薄い土壌でもあります。なので、これを笑いでやってしまうと、これは東アジアの人も面白いと思っているんだからやっていいんだ!と無意識の差別を助長しかねません。

言葉をある意味バカにするのはよくて、目を引っ張るのはダメというのは、やっぱり身体的特徴をバカにしているからなのかなとも思いました。

ぜんじろうさんは自虐も含めたつもりだろうけど、そこはやっぱりその後の影響力を考えるといただけないかなと。しかも韓国人、中国人は同じ東アジアとはいえ他国の人。自分とは別コミュニティの人なので、日本人がこの表現をすることに対して嫌な思いをするのではないでしょうか。(これは言語についても言えますね)

アメリカのスタンドアップコメディでも人種はよくネタになります。
そこに、あるグループがあれば「ステレオタイプ」も生まれやすいし、ステレオタイプがあれば笑いにもなりやすい。という。

じゃあ、何がよくて、何が差別とされるのか?
というのは非常に難しいところだと思います。私も線引きがどこにあるのかと考えて見たのだけど、うまい答えには行き当たりませんでした。

とあるアメリカのコメディアンのスタンドアップを見てて思ったのは、自分のこと、自分が身近に接してきた人のこと(家族や恋人)のことを実際に目にしたこととして、ステレオタイプと絡めて笑いにしているのは差別とは感じませんでした。

これは、
①実際に特定の人の話である=ただステレオタイプを笑っているのではない。
②コメディアン自身がその人に深く関わっている=全くの他人をバカにしているわけではないし、時にその人の話をしているようで自分を笑いのネタにしている
③ステレオタイプと絡めて笑いにしているけれど、ある意味ステレオタイプ自体を笑いにしている。ステレオタイプを風刺している。

このあたりがOKな理由だったのかな〜と思います。
他のコメディアンのネタを色々見て考察すると、もう少しはっきりとルールが見えるとかも。

人種ネタが差別にならないかどうかってすごく難しいラインで、また会場のお客さんがどういう人か、人種問題について教養、共通認識があるかどうかなどいろんな影響があるのかなと、今回のぜんじろうライブで考えるきっかけとなりました。

ぜんじろうさんについては、ダウンタウンの黒塗り問題のときに良いコメントしていただけに少し残念でした。と同時に、やっぱり長年アメリカや他の海外でやってきた芸人と言えども、その微妙なラインを習得するのは難しいということなのかもしれません。

 

日本の芸人が海外で通用するのか!?

 

さて、今回ぜんじろうの英語のライブを見にいった理由の一つに、日本のお笑い芸人が海外で通用するのか!?という疑問がありました。

最近、ピースの綾部がアメリカに進出する!とNYに移住するというニュースを見ていたので気になっていたんです。そのニュースを聞いたときに、正直、そんな簡単にアメリカ進出っていうけど、アメリカのお笑いって人種問題もあるし、政治批判とか社会風刺とか知的なものもあるし、、、アメリカを何も知らない日本人がそんな簡単にできるわけない!とちょっと疑っていました。疑っていたと言うより、アメリカのカルチャーを軽く見られた気がしてちょっと残念な気持ちと言うか怒りが湧いてきたのが正直な気持ちかも。(当人はお笑いに限らず、俳優でも良いと、、、ぶっちゃけアメリカに行きたいだけで何かやりたいわけじゃなさそうだけど。。。ってよく就労ビザおりたね。。)

 

ぜんじろうのライブを見て思ったのは、
海外で受け入れられているぜんじろうのライブはもはや日本のお笑いではないということ。
彼のライブはアメリカ含め海外各地に広がっているスタンドアップコメディの形式になっています。
なので日本のお笑いの形式をそのまま海外でやって笑いをとっているわけではなく、スタンドアップの文法に乗っかっているので受け入れられているのだと思います。

とはいえ、その中にも日本のお笑いでも使うような技も入っている(フリップ芸とか)ので共通しているものもありました。なので、日本のお笑いが全く役に立たないわけではないと思います。

 

ましてや、お笑いのセンスというか、芸人としてのコミュニケーションスキルはどこにいっても通じるものがあるんだなと、ぜんじろうの英語のライブで気づかされました。会場の空気の読み方とか、空気を見た上での切り返しとか、お見事でした。こういうのはやっぱり日本である程度鍛えられてるからこそ、言語や文化が変わっても応用できるのではないでしょうか。やっぱり英語はあくまでも道具であって、中身がないと意味がないんですね。英語すらできなかったらさらにダメですが。

 


 

そんなこんなで、長編になってしまいましたが(いつも書き始めると長くなる。。。)
ぜんじろうのインドでのコメディライブの報告&レビューでした。

さて、最後にアメリカのスタンドアップコメディのオススメをご紹介したいと思います。

まず一つ目は、Ali Wong というアジア系の女性のコメディアン(本業は放送作家)。
Netflixに”Baby Cobra”というタイトルのスタンドアップコメディショーがあります。
(日本からのアクセスで見れるかはわからないのですが。。。汗)

彼女のショーはアジア人として、女性としての視点がとても面白いし、構成もすごく上手くて好きです。今度の母の日に第2弾のショーがアップするらしく今から楽しみで仕方ありません。今年の母の日は彼女のライブが見れるってだけですでに幸せだと思うぐらいすごく好きなコメディアンで、次回作は母親としての視点が絶対面白いと期待大です!育児に終われるママたちの強い味方!

彼女のウィキペディアページはこちら
ホームページはこちら

そしてもう一人おすすめなのがHassan Minajというインド系アメリカ人のコメディアン。
彼のNetflixにのっている”Homecoming King” というスタンドアップショーがとにかくオススメ。
上でも触れたストーリータイプのショーなのですが、面白いだけじゃなくてパフォーマンスが素晴らしくて、すごく上質の劇をみたような錯覚に陥ります。

彼のウィキペディアページはこちら

ホームページはこちら

ゼヒ、この二つのショーを日本のNetflixでも見れるようだったら、見てみてください〜。
本当におすすめです!

 

<前編>↓も読んでね。
ぜんじろうのスタンドアップコメディinムンバイ①

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