《ハーフコラム》ハーフがミス日本じゃダメですか?

昨年のミスユニバース日本代表の宮本エリアナさんに続き、
今年はミスワールドの日本代表にハーフの吉川プリアンカさんが選出されました。

世界三大ミスコンの日本代表に2年連続、ハーフが選ばれる快挙!
ハーフのスポーツ選手の活躍に、ハーフのミス日本、
なんだか最近ハーフが注目を集める流れができているようですね。
(それだけでなく、蓮舫さんの国籍問題などもありますが。。。)

ミスユニバース2015日本代表の宮本エリアナさんは、アフリカ系アメリカ人のお父さんと日本人のお母さんを持つハーフだったのですが、ミスワールド2016日本代表の吉川プリアンカさんはインド人のお父さんと日本人のお母さんを持つハーフ。

そうなんです、私と同じインドハーフ。

私がミスユニバースの日本代表に挑戦したのが2009年の大会だったので、それから7年。
ついにインドのハーフが日本代表に!

去年の宮本エリアナさんの時も初のハーフの日本代表ということで嬉しかったのですが、
同じインドハーフっていうことで吉川プリアンカさんの代表決定も嬉しい限りです。

さて、今日は吉川プリアンカさんのミスワールド2016日本代表決定を記念して、
ハーフとミスコンについて書いてみたいと思います。

 

ミスワールド2016日本代表 吉川プリアンカさんってどんな人

 

ミスワールド2016日本代表に選ばれた吉川プリアンカさんは、インド人のお父さんと日本人のお母さんを持つ日印ハーフ。

1994年生まれの22歳。
(わお!私とちょうど10歳ちがう!)

日本生まれですが、幼少期にインドとアメリカで数年過ごしたことがあり、言語は日本語の他に、英語とベンガル語に堪能です。

さらに、象使いの免許も持っています。
日本代表に選ばれた時の報道で、「日印ハーフ」で「象使い」という言葉が踊っていましたが、象使いの免許はインドとは関係なく、「普通の資格では面白くないから」という理由で、ラオスで取得したそうです。

インドハーフだからって象使いなわけじゃないですからね。
「インドハーフなら象に乗れるんでしょ?」とか思わないようにお願いします。
確かに、インドに行くと道路に象が歩いてたりしますが。。。

ミス日本は日本人じゃなくてもいいの?


いいえ。

ミスワールドのようなミスコンテストで日本を代表するには日本人でなくてはなりません。
「日本国籍を有すること」が参加資格に記載されています。

じゃあ、「吉川プリアンカさんは?」と思ったそこのあなた、

プリアンカさんは、日本国籍を持つ日本人です。

ハーフだってれっきとした日本人なんです。
日本国籍を持たないハーフの人もいますが、この大会に参加できたということはプリアンカさんは日本国籍を持った日本人。

私がミスユニバースジャパンに参加した時は、ファイナリストはパスポートの提示が義務付けられていました。ミスワールドも同じようなプロセスをふんでいると思うので、間違いなくプリアンカさんは日本人でしょう。

2016年のミスワールド日本代表の応募資格はこちら

  • 健康で明朗な、知性と品性を伴った満18歳以上27歳以下の方で、日本国籍を有する未婚女性。
  • テーマである「目的のある美」が理解出来ている、ボランティア活動に造詣・興味のある方。
  • Miss World 2016世界大会(2016年秋・詳細未定)への出場が可能な方。
  • 語学力のある方

(引用:http://missworld.jp/?page_id=2067)


ミスコンテストで問われているのは国籍であって、「日本人っぽく見えるか?」、「純粋な日本人か?」(何を持って純粋な日本人とするかは不明ですが。。。)というような民族、人種的なことを聞かれているわけではありません。

なので、逆に、「日本人に見える」日系人だったとしても日本国籍を持っていなければ、日本代表になることはできないし、「日本人に見える」日系人がアメリカ国籍であれば、アメリカ代表として大会に出ることができます。

実際、2014年のミス・アメリカは「インド人に見える」インド系アメリカ人の方でした。

要は、ミスコンテストもオリンピックと同じで、国籍が出場要件になるのです。
ミスコンテストは見た目を競うもので、「日本を代表する美しさ」というところから、「日本的な美」と連想する人が多く、「見た目が日本人であること」が出場要件と考える人が多そうですが、そんな出場要件はないんです。

「着物が似合うこと」なんていうことも書いてないですからね。

 

「日本人」に見えないハーフはミス日本にはなるべきでない?

 

先に書いたように、コンテストの出場要件が「日本国籍」であって、その要件を満たしていたとしても、ハーフの人がミス日本に選ばれることに違和感を感じるという人がいると思います。

しかし、そういう人に考えてもらいたいのが、宮本エリアナさんが選ばれたミス・ユニバース日本大会も、吉川プリアンカさんが選ばれたミス・ワールド日本大会も、そもそも「日本らしい美しさ」を求めていないということ。

どちらも、世界大会で勝てる美しさ、つまりは「世界基準の美しさ」を求めています。

私が参加した2009年のミス・ユニバースの日本大会のテーマなんて、50年代のハリウッドでしたから。
ファッションもメイクも全く「日本らしら」にこだわってはおらず、レトロなハリウッドのイメージを勉強するように言われました。あと、ヴィクトリアシークレットのショーも参考にするように言われていました。

ぜんぜん着物の似合うような日本的な美さは求められていないんです。

だから、ハーフではない日本人で過去にミス・ユニバースやミス・ワールドの日本代表になってきた人たちも全く「日本風」ではなく、欧米のファッションや美の基準に標準を合わせたファッションにメイクでした。

ハーフではない日本人がそのように非日本的な容貌で日本を代表してきても、特に大きな反感をかうことはなかったはずなのに、ハーフの人が日本を代表すると批判の声、違和感を抱く人が増える。矛盾していると思いませんか?

世界基準の美、世界大会に強い美しさを求めるのであれば、ミスワールド世界大会の優勝回数2位(5回)の美人大国、インドのハーフである吉川プリアンカさんが日本大会で優勝するのは当然の流れなのではないでしょうか。

 

白人系だけがハーフじゃない

 

宮本エリアナさんと吉川プリアンカさんの二人がそれぞれ別の大会ではありますが、ミス日本に選ばれたことについて、ただハーフが2年連続で選ばれたという以上に嬉しく思ったことがあります。

それは、二人とも白人系ハーフではないということ。

「ハーフ」というと、白人系のハーフを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
というのも、雑誌やテレビでもてはやされるタレントやモデルは圧倒的に白人系のハーフの人たちです。

モデルのローラはバングラデッシュのハーフだよ?
って思うかもしれませんが、確かにローラはバングラデッシュのハーフだけれども、髪は金髪にして、目にもカラーコンタクトを入れて、南アジア系の雰囲気を消して白人系のハーフの雰囲気に寄せています。

今回のミス・ワールド日本大会の結果は、去年のミスユニバース日本代表の宮本エリアナさんの注目され具合に乗っかった感じも否めないなと思っていたのですが。。。

それでもただハーフの人を選ぶのではなく、ハーフの中でも今までメディアなどではあまり注目されてこなかった非白人系の、ハーフ界でもマイノリティーと言えるようなハーフを日本代表に選んだ大会運営者には大きな拍手を送りたいと思いました。

確かにミス・ワールドではインドが優勝回数の多い国としては有名だけど、白人がマジョリティをしめるアメリカなんかでも、非白人のアフリカ系アメリカ人や南アジア系アメリカ人が代表に選ばれると未だに話題になるようなご時世なんですよね。

そんな中、ハーフが圧倒的なマイノリティで、その中でも白人系ハーフがハーフのイメージを席巻している日本で、黒人のハーフとインド人のハーフが2年連続で選ばれたのはすごいことなんだと思います。

特にミス・ワールド2016の日本大会に関してはファイナリストの顔ぶれを見てみてみると、他にも欧米系、白人系のハーフが何人かいるようなので、その中でもインド系ハーフのプリアンカさんが選ばれたということ。

この結果は、日本人がハーフの人たちに対して抱くイメージ、白人系ハーフと非白人系ハーフに対して持つ序列を少しでも揺るがす可能性を持っているのではないかなと期待しています。

 

 

おわりに

 

もし、今回の吉川プリアンカさん、去年の宮本エリアナさんがミス日本になったことに対して、「日本人じゃないのに」と思った方は、今一度、自分が何を持って「日本人」と考えるのか、国籍、人種、民族をどう混合しているのか見つめ直した方が良いかもしれません。

日本国籍を持ったハーフの人に対して「日本人じゃない」と言ってしまうのは、ハーフの人を見た目(人種、民族)によって日本人から排除する行為で、人種差別に他なりません。

差別する意図はなく、率直に思ったことを言っただけだったとしても、差別に変わりはありません。

日本はこういった無意識の差別行為が多いので気をつけましょう。


吉川プリアンカさんの出場するミス・ワールド2016の世界大会は、11月末〜12月頭にかけて、私の住むワシントンDCで開催されます。

産後直後の予定だけど。。。早めに産まれたら応援に行けるかな。

次回のブログは蓮舫さんの二重国籍問題について書きたいと思います。

えりざ